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住宅診断・住宅検査コラム

戸建てとマンション、修繕費の差は?修繕費を減らすには

マンションに住んでいる人は、将来発生する大規模修繕工事に備えて、毎月「修繕積立金」を管理組合に納める必要があります。

しかし、戸建て住宅も必ず劣化や不具合が生じますので、修繕費が将来発生することに変わりはありません。

戸建て住宅とマンションの修繕費の違いや、将来発生する修繕費を「ホームインスペクション」の実施で抑える方法を知っておきましょう。

修繕費は戸建てでもマンションでも発生する

マンションに住んでいると、マンションの管理組合に、建物のメンテナンス費用として修繕積立金を納めなければなりません。

各入居者から集められた修繕積立金は、約10~15年に1度の間隔で行われる「大規模修繕工事」の費用に充当されます。

戸建て住宅こそ修繕費の積立を

一方、戸建て住宅の場合、家のメンテナンスを実施するかどうかは、管理組合ではなく持ち主自身が決定しますので、修繕費を毎月納める必要はありません。

ただし、マンションと違って積み立てる必要がないというだけで、戸建て住宅に修繕費が発生しないわけではないことに注意が必要です。

家は、住んでいる限り経年とともに劣化して行きますので、築10~20年経つ頃には何らかのリフォームを行わなければなりません。

毎月強制的に積み立てが発生するマンションよりも、戸建て住宅は修繕費の準備をより意識する必要があると言えるでしょう。

戸建てとマンションの修繕費を比較

戸建て住宅とマンションで、住んでいる間に必要になる修繕費を比較してみましょう。

マンションの平均的な修繕費とは

国土交通省が定めた『マンションの修繕積立金に関するガイドライン』には、マンション管理組合が毎月徴収する修繕積立金の目安金額が記載されています。

例えば、15階未満で延床面積が5,000㎡未満のマンションでは、月々の修繕積立金は専有床面積1㎡あたり218円とされており、仮に一戸あたりの専有床面積が80㎡であれば、月々の修繕積立金は17,440円と計算できます。

もちろん、マンションによって修繕積立金の設定額は異なりますので、必ずしもガイドラインの目安が全国平均とは限りません。

総戸数が多いマンションほど、一人当たりの修繕費の負担額は安くなりますので、修繕積立金が1万円を下回るマンションも存在します。

しかし、ラウンジやフィットネスルームがあるなど共用設備が豪華なマンションになるほど、総戸数が100を超えていても修繕積立金は高くなる傾向にあり、1月あたり15,000~22,000円を積み立ているマンションもあるようです。

参考:国土交通省『マンションの修繕積立金に関するガイドライン』

http://www.mlit.go.jp/common/001080837.pdf

戸建て住宅の修繕費はどのくらい用意すべきか

戸建て住宅で真っ先にメンテナンスが必要になるのは、外壁と屋根の塗替えです。

外壁や屋根の表面を保護している塗装は、年月の経過とともに紫外線で劣化してしまいますので、外壁本体にダメージが進行する前に塗替えなくてはなりません。

外装用塗料の平均的な耐用年数は約10年前後ですが、新築の場合は塗替えを前提として耐久性が低い塗料が塗装されている傾向がありますので、築7年目には塗替えを検討した方が良いでしょう。

30坪程度の戸建て住宅であれば、外壁と屋根を同時に塗替えると、足場代込みで約100~150万円の費用が発生します。

7~10年間で外壁塗装費用を積み立てる場合、月々12,000~17,857円の修繕費を積み立てる必要があります。

外装工事の次に発生するのが、お風呂やキッチン、トイレといった水回り機器の交換リフォームです。

水回り機器のリフォームは、お風呂やキッチンは一回あたり約80~100万円、トイレや洗面台は約10~20万円前後が相場です。

水回り機器の平均的な耐用年数は20年前後ですので、将来的に水回り機器のフルリフォームを行うと仮定した場合、月々7,500~10,000円の積立てが必要と考えられます。

ただし、水回り機器は10年や5年といった短期で劣化するケースもあり、故障すると生活に大きな支障が生じてしまいますので、ある程度の修繕費用は積み立てとは別に確保しておいた方が良いでしょう。

以上の計算から、戸建て住宅で最低限かかる修繕費は、月々約19,500~27,857円と予測でき、マンションの平均的な修繕積立金を上回ります。

入居者の総戸数で按分するマンションと違って、リフォーム費用を持ち主が確実に負担しなければならない戸建て住宅は、修繕費がマンションを上回っても不思議ではないと言えるでしょう。

修繕費を減らすためのインスペクション

中古住宅を購入する場合は、将来予想されるメンテナンスのために、修繕費がどのくらいかかるか計算しておくことが大切です。

最低限のリフォームで済む優良住宅に出会えれば問題はありませんが、もし不具合や老朽化が各所で起きている中古住宅を購入してしまうと、住んだ後に高額な修繕費がかかってしまうでしょう。

購入前のインスペクションで修繕箇所を見つけよう

中古住宅購入後の修繕費を増やさないポイントは、住宅を購入する前に「インスペクション(住宅検査)」を実施することです。

インスペクションとは住宅の検査や点検のことで、専門の技術と知識を持った検査員(インスペクター)が、内装や外装、水回り機器といった目で見える範囲だけでなく、床下や屋根裏に入って構造部分まで劣化や不具合の有無をチェックします。

インスペクションを行うと、現在建物の中で起きている劣化や劣化の兆候も調査してもらえますので、購入同時にかかるリフォーム費用だけでなく、将来どういったリフォームが発生し、修繕費がいく必要かまで分析してもらえます。

「インスペクションで先行投資」という考え方

専門の検査員が時間をかけて行うインスペクションは、当然、調査費用も発生します。

日本ホームインスペクターズ協会によれば、ホームインスペクションの料金は、目視の調査のみで5~6万円、専用の機材を使う場合は10万円以上が相場とされています。

しかし、「住宅を購入するだけでも高額な出費なのに、わざわざインスペクションにまでお金をかけたくない」と感じてしまう人も少なくはないでしょう。

しかし、住宅の劣化は放置する時間が長ければ長いほど進行し、修繕費用も高額になってしまうことを忘れてはなりません。

例えば、外壁の軽微なひび割れは、早期に発見すれば一か所あたり約2~5万円で補修できますが、ひび割れが進行して雨漏りが起き、建物内部の腐食に発展してしまうと、鉄筋コンクリートの錆び補修や室内のクロス張替え、外壁内部の腐食した断熱材の交換などで100万円近いリフォームが必要になるでしょう。

つまり、住宅購入前に数万円でインスペクションを実施して、軽度なうちに劣化を補修しておくことによって、将来発生する大掛かりな修繕工事を防ぐことができるのです。

おわりに

戸建て住宅でもマンションでも、住んだ後に修繕費が発生することに変わりはありませんが、戸建て住宅では強制的な積立がない分、普段から修繕費の確保を心掛ける必要があります。

特に、中古戸建て住宅では築年数の経過とともに劣化が蓄積されている可能性が高く、購入時に適切なリフォームを済ませておかなければ、将来、高額の修繕費が発生するかもしれません。

なるべく修繕費をかけずに長く住める家を購入するためにも、インスペクションを実施して、劣化が軽微なうちに補修しておきましょう。

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