新築基礎工事中でも行えるインスペクションとは?検査項目や注意点を解説
新築基礎工事は、住宅の基礎が出来上がる過程を知れる貴重な機会です。施工現場に足を運んで作業内容をチェックすることも大切ですが、新築基礎工事中にインスペクションも実施しておくと、お住まいが完成した後により安心して暮らせるでしょう。
この記事では、新築基礎工事の基本的な工程を紹介しながら、新築基礎工事に行うインスペクションの検査項目や注意点などをご紹介します。
新築基礎工事の流れを知ってインスペクションに備えよう
ホームインスペクションは、中古住宅の売買時だけでなく、新築基礎工事中でも行うことができます。インスペクションの検査員を呼ぶべきタイミングや、住宅検査も含めた工事期間を知るためにも、新築基礎工事の基本的な流れを知っておきましょう。
地盤調査・地盤改良工事
住宅の基礎は、建設する地盤の強度に応じて適切な種類を選ばなくてはなりません。従って、新築基礎工事の第一歩は、地盤の強度を調査し、必要に応じて改良を加える所から始まります。
地盤改良工事では、ショベルカーで地面を掘り返したあと地中に薬剤を入れて混ぜ、最後に強い力で押し固める作業が行われます。地盤が軟弱な場合は、固い地盤まで杭を打って基礎と一体化することも可能です。
基礎の地ならし
砕石を敷いて機械で加圧し、基礎の地面を水平に整えます。水平になった後は「捨てコンクリート」を打設し、防湿シートを敷きますが、捨てコンクリートの時点ではまだ基礎は完成していません。
基礎の作成
ここからが、実際に建物を支えることになる基礎作りのスタートです。まずは、基礎にコンクリートを流し込むために、基礎の外周に「型枠」を作ります。
次に、コンクリートを内部から支えるために必要な「鉄筋」を、型枠の内側に組む「配筋工事」を行います。配筋はコンクリートを打設すると埋もれて見えなくなってしまうため、間隔や本数が適切か、基礎工事の時点で検査しておかなければなりません。
配筋検査が完了したらコンクリートを打設し、コンクリートが乾燥したら、基礎の「立ち上がり部分」の型枠も作成します。立ち上がり部分にコンクリートを打設した後は、養生を行ってコンクリートの乾燥を待ち、型枠を撤去して基礎コンクリートの完成です。
新築基礎工事中こそインスペクションを実施しよう
新築基礎工事中に行われるインスペクションでは、目視や設計図面との照合によって、打ち合わせの通りに基礎が施工されているか、建築基準法が守られているかなどが検査されます。
新築基礎工事中にインスペクションを行えば、家のベースとなる基礎づくりの時点で、施工ミスや基礎の強度不足を発見できるかもしれません。
また、建物が完成した後に基礎の強度測定などを行おうとすると、床や壁の解体が発生し、インスペクション費用が割高になる可能性があります。しかし、壁や床がない新築基礎工事中にインスペクションを済ませておくと、部材の解体が発生せず、検査費用のみでインスペクションが行えるでしょう。
新築基礎工事で行われる主なインスペクション
インスペクションは現場によって検査項目や範囲が異なりますが、新築基礎工事中に行われる主なインスペクションは以下の通りです。
地盤チェック
基礎を作る前に、地盤の強度や不同沈下の有無などをチェックします。ただし、地盤チェックは、インスペクションの実施会社によってはサービスに含まれていなかったり、オプション料金が発生したりすることがあります。
基礎を作る施工会社も地盤のチェックや地盤改良工事は行いますので、地盤調査の結果をインスペクターに提出し、内容をダブルチェックしてもらうと良いでしょう。
基礎の配筋チェック
基礎の配筋チェックは施工会社も行う重要なチェック項目ですが、インスペクションを実施して第三者の視点も入ると、さらに精密な検査となるでしょう。
配筋検査では、
- 配筋の間隔(ピッチ)
- 鉄筋の太さ
- 鉄筋に対するコンクリートの厚さ(かぶり厚さ)
などが主にチェックされます。
なお、コンクリートを打設して配筋が見えなくなっても、配筋のインスペクションは可能です。機械を使ってコンクリート内部にある配筋を電磁波で検出することで、配筋の間隔を設計図と照合することができます。
コンクリートの強度チェック
コンクリートの強度を測るために、リバウンドハンマーという機械を使った「圧縮強度検査」を行います。圧縮強度検査では、コンクリートを破壊せずに表面から衝撃を与えて、コンクリートの抵抗力を測ります。
シロアリ対策のチェック
新築住宅を建てる際は、シロアリが床下に寄り付かないように防蟻工事を済ませておきますが、インスペクションを行うことで、防蟻剤が適切な間隔で散布されているかチェックしてもらえます。
なお、防蟻工事は、基礎工事が終わって建物の構造材もできた時点で行う作業ですが、外壁や内装が仕上がると、目視の検査が行いにくくなってしまいます。基礎工事のインスペクションと併せて、シロアリ対策工事もインスペクターにチェックしてもらうと良いでしょう。
新築基礎工事中にインスペクションを実施する時の注意点
新築基礎工事のインスペクションを行う場合は、以下の点に注意して施工会社や検査項目を選びましょう。
施工会社と連携を取れるインスペクターに依頼する
インスペクターは、施工会社でも施主でもない、第三者的な存在です。第三者の視点によってダブルチェック効果が得られるという点がインスペクション最大のメリットですが、施工会社によっては、外部の検査員が現場に立ち入ることに抵抗を感じることもあるでしょう。
もし、施工会社が作業した箇所を手あたり次第にインスペクションで検査してしまうと、施工会社は「自分たちの工事品質を疑われている」と気分を害してしまう恐れがあります。
現場を仕切る施工会社の作業員とインスペクターが連携を取れていないと、スムーズな検査が行えなくなるだけでなく、仮にインスペクションで施工不良が見つかったとしても検査結果が施工会社の作業に反映されず、せっかくのインスペクションが無駄になってしまいます。
インスペクションの実施会社を選ぶ時は、
- 基礎工事の現場経験を持つ人物
- 施工監理に慣れた人物
などが所属している会社を選ぶと、作業員に寄り添いながら、現場の空気を乱さずに立ち回ってくれるでしょう。
施工箇所が増えるほどインスペクションの費用は高くなる
インスペクションは一回あたり約5~10万円の費用が発生しますが、検査箇所が増えるほど費用も割高になります。検査項目が一つ増えるたびに、平均して約3~5万円の追加費用が発生しますので、新築の基礎工事だけで約20~30万円の検査費用になるケースもあるでしょう。
インスペクションは、やみくもにあれもこれも検査するのではなく、ポイントを絞って重点的に行うことが大切です。
施工会社が検査を行う箇所は施工会社に任せるなど、インスペクターの指示を仰ぎながら、検査内容をよく打ち合わせましょう。
おわりに
住宅の基礎は、完成してしまうと見えなくなってしまうだけに、施工中のインスペクションが重要な意味を持ちます。新築基礎工事の流れや重要性をよく理解して、施工会社が点検する箇所、インスペクションが必要な箇所をしっかり見極め、確実な検査を行ってもらわなければなりません。
施工会社とインスペクターによるダブルチェックが行われた家であれば、完成後に大きな安心感を得られるでしょう。