住宅購入前から、購入後の確定申告のことを考えておきましょう!
住宅購入前から、購入後の確定申告のことを考えておきましょう!
確定申告には所得税を納める「所得税の申告納税」とは別に、納めすぎた所得税を還付してもらうための「還付申告」があります。
「住宅ローン控除」とはその「還付申告」の一種になります。住宅ローンを利用して住宅を購入したりすると、翌年1月1日から5年目の12月31日までに還付申請すれば年末のローンの残高に応じて、税金が還ってきます。
ちなみに、サラリーマンの方であっても、「住宅ローン控除」を受けるための手続きは、会社を通じた「年末調整」ではできないため、自分で税務署に手続き(確定申告)する必要があります。(確定申告が必要なのは1年目だけで、2年目以降は年末調整ができます。)
この制度の適用を受けるには、下記の条件を満たしている必要があります。
<新築住宅の場合>
・新築又は取得の日から6か月以内に居住の用に供し、適用を受ける各年の12月31日まで引き続いて住んでいること
・この特例控除を受ける年分の合計所得金額が3,000万円以下であること
・新築又は取得をした住宅の床面積(登記簿に表示されている床面積)が50㎡以上であり、床面積の2分の1以上の部分が、専ら自己の居住の用に供するものであること
・10年以上にわたり分割して返済する方法になっている新築又は取得のための一定の借入金又は債務(民間の金融機関や住宅金融支援機構等の住宅ローン等)があること
・居住の用に供した年とその前後の2年ずつの5年間に、居住用財産を譲渡した場合の長期譲渡所得の課税の特例等の適用を受けていないこと
<中古住宅の場合>
上記新築住宅の要件の他に、
・建築後使用されたものであること
・次のいずれかに該当する住宅であること
・マンション等の耐火建築物の建物の場合には、その取得の日以前25年以内に建築されたものであること
・耐火建築物以外の建物の場合には、その取得の日以前20年以内に建築されたものであること
・上記に該当しない建物の場合には、一定の耐震基準に適合するものであること(平成17年4月1日以降に取得をした場合に限る)
・取得の時に生計を一にしており、その取得後も引き続き生計を一にする親族や特別な関係のある者等からの取得でないこと
・贈与による取得でないこと
これらの条件を満たすと、10年間、ローン残高の1%にあたる税金が還ってきます!
確定申告はお住まいの地域を管轄する税務署で行いますが、その際には下記の資料が必要になります。
・確定申告書
・(特定増改築等)住宅借入金等特別控除額の計算明細書
・住民票の写し
・建物、土地の登記事項証明書
・建物、土地の不動産売買契約書(請負契約書)の写し
・源泉徴収票
・住宅ローンの残高を証明する「残高証明書」
・(一定の耐震基準を満たす中古住宅の場合)耐震基準適合証明書又は住宅性能評価書の写し
・(認定長期優良住宅・認定低炭素住宅の場合)認定通知書の写し
中古住宅の購入により、住宅ローン減税を受ける際には耐震基準適合証明書という書類の提出を求められる場合があります。耐震基準適合証明書とは、建物の耐震性が国の定めた基準を満たすことを証明する書類です。築年数や工法によって証明書を取得する手続きが異なってきます。特に、木造住宅の場合は診断の結果によっては耐震改修工事が必要と判断される可能性もあります。そのため、購入したい物件が決まった段階で必要な手続きについて確認する必要があります。
この耐震基準適合証明書は、建築士資格を持つ事業者で発行することができますので、お近くの建築士にご相談いただければと思います。
よくあるのが、確定申告の間際になってから、「発行してほしい」と言われる場合です。実はこの耐震基準適合証明書、発行までは下記のような流れとなっています。
耐震基準適合証明書申請書(仮申請書)の取得
耐震診断の受診
↓
<改修工事が必要と判断されたら・・・>
耐震改修計画の立案と見積もり
耐震改修工事の実施
↓
引き渡し後6か月以内の入居
耐震基準適合証明書の発行
このように、「引き渡しまでに仮申請書を取得しなければならない」といった条件があったり、「引き渡し時には旧住所で登記しなければならない」などの条件があったりと、確定申告の間際で急に言って発行されるような書類ではないのです。
個人間売買の場合、住宅ローン控除額は10年で最大200万円になります。例えば、改修工事に100万円の費用がかかったとしても、購入した物件の耐震性が担保されたうえで100万円が戻ってくる計算です。
中古住宅購入の前にこれを知らず、書類を発行できなかったでは大きな損失となります。ですので、まずは中古住宅を購入すると決めたときに、お近くの建築士までご相談いただくことをおすすめします。
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